日本全国のピアノ教室が5000件以上掲載!

ピッチが狂わないピアノ

隣市にお引越しされた生徒さんが、ピアノの調律をなさったそうです。
移動するとピッチが狂いやすくなりますが、比較的安定した状態だったそうです。
先日、調律師の方に、冗談で「狂わないピアノを発明して下さい!」と無理な注文をしたところ、次のような真面目な答が返ってきました!
「狂わないピアノは変化のないピアノですから、飽きるかも知れません。アコースティックの良さは、幅という要素がありますから。」「音が変わらない技術は録音と再生です。」
真っ当なご意見ですね!でも私が考えていたのは、別のことなのです。すなわち、「ひとりでに自動的に調律されてしまうピアノ」「常に完全な状態で調律されているピアノ」です。
ピアノのユーザーにとって、「調律にお金がかかる」ということは大変気になるところですね。一年に一度アップライトピアノの定期調律をする一般家庭だと、大した出費にならないかも知れませんが、常に楽器を酷使しているスタジオや音楽教室、音大生、ピアニストとなると、月に何度も調律師を呼ばなければならないケースは稀ではありません。
実は、これまでに多くの科学者や発明家が、このことに着目して、「自動的に調律されるピアノ」の開発を手掛けてきました。
弦の狂いに合わせて、小型モーターで弦にテンションをかける仕組みの自動調律装置を開発したメーカーが過去にあります。しかし、それは調律精度が著しく悪い上、仕掛けがあまりに大掛かりであったため、調律料金とは比較にならないほどの費用がかかるものでした。
そこで、Story & Clarkという米国のピアノメーカーが、「弦の温度を調整することによって、弦の振動数をコントロールする」という別の発想をもって、自社の開発事業のひとつとして、この問題に取り組みました。
その装置について簡単に説明すると、「ピアノの弦は、流されている電流によって、常に約35℃が保たれており、各弦の下に設置されているピックアップ(マイクロフォン)が、弦の振動を読み取ることになっている。その振動が、予め設定されていた調律の数値より高ければ電流を高め弦を加熱し、逆に 振動が低ければ電流を低くして弦の温度を下げる。」といった仕組みです。
このようにして弦の振動数を調節すると、 一台の調律にかかる時間はわずか40秒で済み、期待できる精度もかなり高いと聞いております。
しかし、弦の温度で操作できる音程の幅にはやはり限度があるでしょうから、弦が安定していないピアノ - 例えば新品購入直後のピアノなど - であれば、通常のピアノと同じくらいの頻度で調律師に来てもらう必要があるかも知れません。
ところで、このself-tuning pianoは2003年に発売される予定だったのですが、同社のHPを見る限り、現在販売されている様子はありません。
商品化に至っていない経緯については存じておりませんが、ピアノの音というものは、部屋の空間や壁の材質、演奏される曲が要求する個別のタッチなど、数値では測れない様々な条件に左右されますから、調律は、最終的には機械に頼ることが出来ない作業なのではないかと思います。
いつも良い状態が保たれているピアノを、気持ちよく弾きたいものですね!


↓お問い合わせは、こちらからどうぞ!↓
↑体験レッスンお申し込みも、こちらからどうぞ!↑

このブログへのコメント

周波数のみの自動調律の限界について、全く同感です。アナログのピアノは人の感情を感じ取るだけでなく、壁の材質や空間の広さや温度湿度全てを察知します。演奏者の弾き方や手入れによっても、ピアノをある程度良い状態に保つことは出来ます。でも、やはり調律直後のピアノを弾くときの快感は格別なものですよね!有名な諺に「一日だけ幸せになりたかったら美容室に行きなさい。」というものがあります。調律後の幸せが一日ではなく、もっと長く続くよう、日ごろのメンテナンスと無理のない自然なタッチで弾くことを心掛けたいと思います。

コメントを有難うございます!
仰るとおり、アナログのピアノは、調律した次の瞬間から音は狂い出しますね。
音律が合わなくなるだけでなく、ピアノの劣化の問題により、良い状態を保てないこともありますね。
見た目でわかるのは、フェルト部品等の消耗部品の磨耗量が年数から適量か、一定期間で交換と判断する部品が交換されているかどうか、交換間近ではないか、環境による劣化では、弦を止めているピンのサビ具合、弦の表面のザラつき、鉄骨のサビ、響板や外装パネルの内側のカビやシミ、部品の反りや変形、等から、湿気や過乾燥による劣化具合といったところでしょう。
音の響きでわかるのは、演奏中での使われ方、例えば、酷使されてきたか、逆に放置されていたか、弦が乗る鉄骨側の劣化、また、その機種の平均的な音色や弾き心地から、どの程度逸脱しているのかという点だと思います。
そして重要なのは、弦を止めているピンの硬さで、ここが緩いと最悪、調律不能になります。それは、ピンを回して確認することが可能だそうですが、私が以前使っていたC7(ヤマハグランド)は、どの調律師さんも、「調律直後」ではなく、「調律中に音が狂う」と仰っていました。それは、中低音域~高音域にかけて、弦を「レスロワイヤー」に張り替えた際に、ピンのサイズを一段階太いものに換えなければならない作業が、正しく行われていなかったためと判明しました。
ピアノを維持するのは大変ですが、アナログのピアノには計り知れない魅力がありますから、音律、音色、タッチなど楽器を少しでも良い状態に保っていきたいものですね!

サミュゼピアノ研究会

2017年10月13日 16:11

調律が狂わないピアノって?!
無理だと思います。
調理した次の瞬間から、狂い始めるのが、アナログなピアノです。
周波数のみの自動調律でも限界があると思います。
でも、『調律が狂わないピアノって?!』有れば・・・・・、同感します。