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グラーヴェチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ

J.S.バッハ(1685-1750)の作品に強弱をつけて演奏すべきか否かということは、長年に渡って議論になってきていることですね。
現代の私たちは強弱のつく楽器、すなわち「ピアノ」で弾いているわけですから、全く抑揚をつけないで演奏する人はいないと思います。
しかし、バッハの時代にはピアノがなかったということを理由に、当時の主流であったチェンバロの音を模倣するような奏法を推奨する人もいます。
チェンバロは強弱に反応しない楽器ですが、1708年にクリストフォッリという人が近代的ピアノのもとである楽器を発明しました。
それは、「グラーヴェチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテGravecembalo col piano e forte(弱音と強音が出る大きなチェンバロ)」という名で紹介され、1720年以降ヨーロッパ各地に広まりました。そしてその名のとおり、外見はチェンバロと同じなのに、タッチで音に強弱がつけられる新しい楽器」として、ゆっくりと普及していくことになります。
D.スカルラッティ(1685-1759)は生徒の指導や自らの作曲作品に、この楽器を好んで用いたと言われています。一方、W.A.モーツァルト(1756-1791)の初期の作品はチェンバロのために書いていたのに、或る時期からピアノフォルテを用いるようになったのだそうです。そのことは、その時期に「フォルテピアノ(グラーヴェチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ)」が著しく改良されていたことを裏付けるものの一つです。
さて、バッハはこの楽器を知っていたであろうにも拘わらず、「ピアノフォルテ」とはあまりイメージが結びつきませんよね。では、彼は鍵盤曲を演奏するにあたって、強弱に興味がなかったのでしょうか?
決してそうではありません。彼は「クラヴィコード」と称される「弦をタンジェントと呼ばれる金具で突き上げることで発音する鍵盤楽器」を愛用していました。これは、長方形の箱形の楽器で、テーブルや専用の台などの上に置いた状態で演奏されるものです。音量が小さいため演奏会での使用には向きませんでしたが、家庭の中では非常に普及しました。
この打鍵の強さによって音に強弱をつけることが出来る楽器「クラヴィコード」は、何と14世紀頃に発明され、チェンバロと並行して16世紀から18世紀にかけて広く使用されていました。
このような事実から、現代の私たちがJ.S.バッハの作品をどのように再現するのが良いかを考え知ることが出来ますね。


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