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ブルクミュラーの探索:Op.100-14 La styrienne

ブルグミュラーの《La Styrienne》について考えてみましょう。その原語タイトルと日本語訳には多くのバリエーションが存在します。「シュタイヤー舞曲(アルプス地方の踊り)」「スチリアのおどり」「スチリア舞曲」「シシリアのワルツ」など、多くが「舞曲」として訳されています。しかし、これらの訳は必ずしも原語の意味を正確に反映しているわけではありません。

「シュタイヤー地方」とはオーストリア東南部、アルプス山脈の東側の終端あたりに位置するシュタイアーマルク州を指します。この地名はフランス語ではスティリィ(Styrie)と言います。フランス語では地名の後ろに -ien (男性形)、-ienne (女性形)という接尾辞をつけて「どこそこに属する人、どこそこ生まれの人」を意味します。したがって、《La Styrienne》は「スティリアの女」を意味します。

また、この曲はレントラーという3拍子の踊りの音楽から派生したもので、レントラーはワルツの前身とも言われています。レントラーはもともと田舎っぽい踊りで、飛び跳ねたり、靴で床を鳴らしたり、ときには「男性の肩越しに女性を投げ下ろすといった難しい動作」も含まれていました。しかし、19世紀になるとレントラーは洗練され、芸術性を帯び、都会風に発展してワルツが誕生しました。

ブルグミュラーがつけた曲想用語は「Mouvement de valse ワルツの動きで」で、四分音符=176という、けっして遅くはないテンポ設定で、作曲家が当時パリにいた影響なのか、「都会的に演奏してね。」と語りかけてきているように感じます。

以上の理由から、私は《La Styrienne》を「舞曲」としてしまうことに違和感を覚えます。ただし、問題は「正しい」か「正しくない」かではありませんし、また「正しくない」ものが悪いわけではありません。違和感を覚えるならば、それがどうしてなのかを考えることによって、この作品の持つ奥行きを少しでも感じ取っていくこと、そのことの面白さに触れていただけたらと思います。

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