楽譜が読めないことと、勉強できないこと。

 たくさんの生徒さんと出会う中、ごくまれにですが、どうしても楽譜が読めるようにならない、ということがあります。教え方が悪いのか、練習不足なのか、先生も生徒もいろいろがんばってみますが、何年たってもどうにもならないことが確かにあるのです。どうやら、図形の認識の問題や、音程とリズムと指番号同時読み取りの苦手さなど、努力で解決不可能な「何か」が原因らしいのですが、いまだによくわかりません。
 こういう場合、楽譜を読めるようになることをどこかで「あきらめる」判断が必要です。その問題はひとまずおいておいて、リズム練習をしっかり身に付けて、音符にカタカナをふって、とりあえずどんどんいろんな曲を弾かせてしまう。音符読みに長時間浪費するより、実際の演奏にエネルギーを注ぐべきです。後からすんなり読める時期が来るかもしれないからです。
 ピアノ教師にとって、楽譜の読み取りは最優先すべき課題です。何年もピアノを習って楽譜が読めないなんて、そんな先生、教え方が悪いに決まってる!と昔の私は思っていました。おそらく学校の先生も勉強できない生徒をなんとかしたいと、努力と工夫を重ねているはずです。しかし、「ゆるぎない信念」とか「教育方針」とかは、一部の事情のある生徒を追い詰める危険があります。漢字にルビを振る、ひらがなで答えをかく、読み取りソフトで教科書を朗読してもらう、カメラで黒板を写すなど、あらゆる手段で学ぶ工夫をゆるしてほしいです。
 子供のタイプを見極めて、ピアノ練習の際、音符にカタカナを振るのはもちろん、まずは音楽をを記憶し、動画の鍵盤を見ながら練習したり、伴奏機能を使ったり、指番号を無視したり、「演奏する」目的を果たすためにはなにをやってもいいのではないか、と思うようになりました。あくまでも、通常のやり方ではうまくいかない、事情のある場合に限りますが。一体「何を学ぶのか」本来の目的を見失わない教育をしていくことは、常に念頭においておかないといけないと思っています。

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