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脳の臨界期について

長年ピアノを教えてきて、だいぶ前から子どもの脳には9歳、10歳頃に大きな変化があるのに気がつきました。一般的には『脳の臨界期』などとも言うようです。物事の理解の仕方が無意識から意識的なものに変わる時期とでもいいましょうか、無条件に物事を受け入れられる時期と頭で理解してから受け入れられるようになる時期、とでも言えば良いでしょうか。うまく言えないのですが、明らかに子供たちの脳の働き方が変わってくる時期があるのです。

ピアノに限らず何かを習得するにあたって、特に反射神経や運動神経を要するようなものの場合は、この時期よりも前に始めていると楽に導入できると考えています。でも、だからと言って早いから良いというものでもありませんが、、、。ピアノの場合、9歳前にきちんと楽譜が読めるようになっていれば、いろいろな曲を弾くことで数がこなせるので、読譜力を高める訓練が容易です。反対に、10歳過ぎてから習い始めた場合、読譜には脳の理解が先になり9歳以前に習い始めた場合に比べると、スラスラ弾いていくのに時間がかかります。この遅れは、一生付いて回ると言っても過言ではありません。読譜が楽だと練習が楽なので、レッスンが長続きしやすいと考えています。

なぜこのようなことを言うかというと、今まで習っていた先生を辞めて私のところに移って来る生徒さんの中には、楽譜を見て弾けないという問題を抱えていらっしゃる生徒さんが結構多いのですが、そんな生徒さんたちも、9歳以下の場合は、年齢が低ければ低いほど早く矯正できますが、9歳を過ぎている場合は矯正が難しいことがあります。それまで手を見て弾く癖がついているような場合、手を見ないで楽譜だけを見て弾いていく作業、つまり視覚から入ってきたことを脳が判断し、反射的に指先の運動神経に指令を出すという一連の回路を作るのに、臨界期を過ぎていると非常に時間がかかります。9歳前は、感覚的に物事を受け入れられるので、回路を作るのに時間がかかりません。ですから、どうせ習うなら、脳の臨界期より前に始めることをお勧めします。

ただし、どんなに一生懸命習っても、9歳前に辞めてしまった場合は大体全て忘れてしまいます。9歳前にピアノを辞めてしまい、大人になってから昔の曲を弾こうとしてもほとんど弾けないはずです。『昔取った杵柄』という言葉がありますが、読譜の回路を脳の記憶に留めておくには、11歳、12歳まで習い続けてから辞めないと難しいでしょう。これは、語学の勉強などにも共通することです。

ニューヨークのマンハッタンに住んでいた頃、息子が通っていた現地の幼稚園や小学校でのことです。数名ですが日本人駐在員のお子さんもいらっしゃいました。夏休みには、皆さん日本に一時帰国されるのですが、アメリカの夏休みは6月半ば頃から9月の初めまでなので、約2ヶ月半英語を全く使わない生活になります。9歳前のお子さんは、9月に新学期が始まってアメリカに戻ってきた時には、すっかり英語を忘れてしまっています。新学期が始まってしばらくの間は、ほとんど英語がわからない状態になってしまっていて、毎朝涙を流しながらお母さんに別れを告げていた様子(ニューヨークでは送迎が義務です)は、今でも忘れられません。

これは、脳の臨界期を示す非常に良い例だと思うのですが、脳が感覚で物事を受け入れているうちは、できるようになるのも早いのですが、忘れるのも非常に早いのです。ですから夏休みに日本に帰って、ほとんど英語を話さないでいる間にすっかり英語を忘れてしまうのは、当たり前です。このように英語などはあまり早くから習わせても、1ヶ月で子どもの脳から抜け出てしまいますから、臨界期の少し前から始めても十分だと考えます。音楽の場合は読譜以外にも必要なことが多いので、単にピアノを弾くというよりも、ダルクローズ・リトミックのような音感教育をこそ小さい時から始めて、音の聞き分けられる鋭敏な耳を作ってあげたら良いと思います。そうすれば、英語と限らずどんな語学と親しむことになったとしても、将来役立つことでしょう。

遅く始めたらダメだというつもりはありませんが、自転車に乗ったり、スキーをしたり、泳いだりするのと同じように、ピアノも脳の臨界期に大いに影響を受けます。


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