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年齢に合った導入と教本

前回、縮小楽器のないピアノが、幼いお子様の小さな手には困難があるという話をしました。小さな手で無理に手を広げて弾くと、肩を硬直させ、無駄な力を入れる癖がついてしまうことが多いものです。その弊害は、決してその時期だけにとどまりません。人間の脳は、一度習慣化したことはしっかりと記憶に留めてしまうので、悪い習慣を取り除く方がよほど大変です。スポーツでも同じですが、無駄な力を入れないようにすることが美しいフォームにつながり、より良いパフォーマンスが得られるのです。そしてまた、無駄な力は体のある部分に過度な負担をかけますから、将来的には怪我にもつながります。少年野球のピッチャーなどが、肩を壊して投げられなくなる話はよく聞きますが、体に無理のないピッチングをしていれば、そのような悲劇は生まれないのではないでしょうか。ピアノも同様で、前回お話しした、『カエル弾き』をはじめ、無理な弾き方は、練習量が増えた時には腱鞘炎などの怪我の元にもなります。そして結局は演奏に限界がきて先へ進めなくなります。無駄な力や動きが少ないほど、速いパッセージを美しくなめらかに弾くことが可能なのです。

また、腱鞘炎とまではいかないまでも、まだ成長段階にある未熟な骨格に負担をかけすぎるのは、非常に危険です。それは3、4歳の幼児でなくても、小学校低学年の子供達にも言えることです。ピアノ演奏では、鍵盤に無駄なく力を伝えるために指が丸くアーチの形を保つことが基本になっています。いわゆる(ピアノの先生方が生徒さんに対して好んで使う表現の)「卵をそっと握っているような手の形」というのは、このアーチを作ることを言います。簡単に言うならば、立った姿勢で腕をぶらんと下げ、完全に脱力した時の手の形をそのまま鍵盤に乗せた形を指します。一つの関節も凹むことなく、かといって出っぱるでもなく、自然な形で手を鍵盤に乗せた状態のことです。そして、このアーチを凹ませずにピアノを弾けることが大切です。指の腹でなめらかに弾く『レガート奏法』なども、まずこのアーチができてからきちんとした音が出せるようになります。では、アーチの作れる年齢とは、一体何歳ぐらいを言うのでしょうか。整形外科の医師が書いた本によると、ピアノ演奏で大切な手首を支える『手根骨』は、3歳児の手では、まだ完全には現れてもいません。全ての『手根骨』の骨化がレントゲン写真で認められるようになるのは、男子10〜11歳、女子7〜8歳であり、この年齢で一応成人と同じだけの『手根骨』が出揃うのです。しかも近年のように、外遊びで自転車に乗ってハンドルを握りしめるよりも、家の中でゲーム機を操る機会の方が多い子供達の手の骨は、昔よりずっと成長が遅くなっているように感じます。従って、これ以前の年齢の子供に力強い打鍵を要求すると、アーチが壊されるばかりか、上腕や肩に無理なこわばりを持たせる危険性も増します。そんな理由から、私はハノンや、ピアノのテクニックなどの指の柔軟性や強化を目的とした教本は、男子で10〜11歳、女子で7〜8歳を過ぎてから与えるようにしています。


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