大相撲秋場所九日目結びの一番

大相撲秋場所九日目結びの一番での照ノ富士と宇良の対戦に心を打たれました。
今場所から新横綱となった照ノ富士は、前日大栄翔に一敗を喫したものの毎日万全の貫禄相撲。
かたや宇良も成績は五分ですが、連日闘志を感じさせる誠実な取り口。
二人とも膝の大怪我などで、序二段まで陥落したのちに、現在の地位まで復活した苦労人です。
宇良は今回が初めての結びの取り組み、相撲取りにとっては感慨ひとしおのはずです。
彼なりに精一杯に工夫を凝らし、横綱の胸を借りる勇姿は素敵でした。
照ノ富士は決して手を抜くでもなく、しかし落ち着いて対応して勝利しました。
強引に打ち負かすのではなくてがっちりと受け止め、宇良の見せ場さえも演出していたようもに見えました。
腕を締め付ける場面でも相手が怪我をしないように配慮していたようにも感じられました。
筆舌を超えた苦難の後、勝負師であると同時に大きな人間愛まで身に備えた照ノ富士の品位に感動しました。
試合後のインタビューで照ノ富士もこう語っていました。
「同じ怪我をして、序二段まで落ちた二人が結びで取れたのは良かったのではないでか・・・」
人間様々な苦労や挫折はつきものですが、彼のように成長して行けたら素晴らしいですね。
（森直紀）