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『羊は憩いて草を食み』(Schafe können sicher weiden)

ハートピアノ教室





 J.S.バッハは、いい加減な態度で音楽をすることを断固として許さなかった人でした。同い年の作曲家ヘンデルはドイツからイギリスに渡って華やかに活躍しましたが、バッハは一生ドイツにとどまり宮廷に仕え、深い信仰心をもって“音楽の職人”としての人生を貫きました。その揺るぎのないバッハの音楽は今でもすべての人の心に響き渡ります。

 バッハは20歳代後半に《宮廷音楽家兼宮廷オルガニスト》としてワイマールのヴィルヘルム・エルンスト侯爵に仕えます。1713年に侯爵の御供をしてヴァイセンフェルス(ドイツ東部の都市)を訪れた折には、狩り好きのヴァイセンフェルス公クリスティアンの誕生日を祝う曲としてカンタータ『楽しき狩こそわが悦び』BWV 208を献呈します。

 カンタータとは独唱や合唱などを何曲かまとめたものの呼び方で、世俗カンタータ(行事や式典で演奏される)と教会カンタータ(礼拝時に教会で演奏される)があり、バッハは生涯に200もの作品を残しています。この曲ではクリスティアン公の統治が讃えられ、若いバッハによって生き生きと狩りの楽しさが描かれます。

 『羊は憩いて草を食み』はその全15曲の第9曲目です。ソプラノ独唱で歌われるこの曲は、素朴なリコーダーアンサンブルにのせて“良き君主のいる国は人々が安心して平和に暮らせる”といった意味の歌詞をソプラノが明るく優しく歌います。

 この曲を知ったきっかけは来日したピアニスト、レオン・フライシャーの弾くピアノ編曲版の映像を見た2009年でした。柔らかい音色と、淡々とした中にも優しさと深い愛に溢れており“それでも人生は続いていく”ということを決意したような強さも持ち合わせた演奏でした。フライシャーは難病のフォーカルジストニアに罹患し、実に35年間にわたり闘病しました。70歳代になって注射によって奇跡的に治り、92歳で亡くなるまでの残りの人生を演奏と教育に捧げました。

 このピアノ版は、右手だけでリコーダーパートとソプラノのメロディーの両方を弾き分けるのが難しく、左手もずっと和音を同じ速さで押すだけで自然な流れを表現しなければなりません。厳格に生きたバッハからあふれ出た優しい愛のメロディーは、弾き手によって様々にイメージが変わります。闘病中も一日も欠かさずピアノをさわり続けたというフライシャーの演奏は、ひたむきに音楽に向かい続けたバッハの姿と重なります。

 「命がけで弾きなさい!それが音楽というものなのだから。」とフライシャーは言います。音楽の偉大さをあらためて思います。


  

  熊本市東区健軍
  HEART PIANO ハートピアノ教室
  








































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