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白昼夢⑧


ハートピアノ教室


2021年11月。熊本市の公園では銀杏の葉が夕日で黄金に輝いています。ジョギングを楽しむ人の横を歩いているとベンチから呼び止める声が…。

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男「ボンジュール、マドモワゼル。貴女の髪、トレビア~ン。亜麻色で美しい。」

私(まあ、おでこさんのフランス人。目はちょっとにらんでいるみたい。にこりともしないわ。それにちょっと肥満気味かも。私に声かけているのかしら?)

男「音と香りは夕暮れの大気に漂っています、マドモワゼル。グラナダの夕暮れも美しいけれど貴女を今彩っている熊本の夕暮れは格別に美しいです。美しき夕暮れは冷気を誘いながらヴェールのように私たちを包むのです。」

私(ここって子供たちがボール遊びしたりするただの熊本の公園だけど。それに私マドモアゼルじゃなくておばさんだし。)と、心の中でつぶやきます。

男「やがて月が昇ります。月の光は私にインスピレーションを与えます。昼間の太陽とは正反対の魅力、青白く幻想的な夜に、牧神たちは奇妙な夢を見るのでしょう。グラドゥス・アド・パルナッスム博士だって象の子守唄を歌いながら水の反映が美しい夜に小舟を漕ぎ出すのです。」

私(やだ。どっかで聞いたことある言葉ばかりだわ。あ!この人女性にモテモテのフランス人作曲家ドビュッシーね。)

男「この間の月蝕はご覧になりましたか?赤銅色になった月はなかなか見られない幻想的なもの。沈める寺が姿を現すのもこんな夜なのでしょう。今宵私とお付き合い下さいますか?マドモワゼル。貴女とメヌエットやパスピエを踊りたい。」

私「初めまして、ムッシュドビュッシー。21世紀の今でもあなたの素晴らしい音楽は生き続けています。でもあなたの私生活はけっこうシビアだったんですよね。」

男「私は自由でナチュラルが好き。心のままに生きたいだけ。音楽学校へ行ってた若い頃も音楽の決まりがうっとうしかった。和音の移ろいは決められたものではいけない。恋愛もそう。妻がいてももっと好きな人が現れたら心の声に従います。そして今私の前で貴女は美しい。私と喜びの島へ行きましょう。」


「え~そんなの嫌です~」

とその時、池で金色の魚が跳ねたかと思うと、ドビュッシーは消えてしまった。

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11月のある日の白昼夢です。
※白昼夢はフィクションです

熊本市東区健軍 HEART PIANO ハートピアノ教室


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