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シューマンの「蝶々」

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前回のブログから時間が経ってしまいました。。。

4/21のコンサートで演奏する曲目について、独り言です。

シューマンによる「蝶々」作品2。
春らしいタイトルで、蝶々みたいな軽やかでヒラヒラした曲。。。と思わせますが、違います。

シューマンは、愛読していた長編小説(ジャン・パウル著「生意気盛り」)にインスピレーションを受けてこの曲を作曲したと述べています。

この長編小説では主人公の心理描写に蝶々が使われています。

例えば主人公が恋に目覚める場面では
「これまで冬の間ずっとサナギの状態で凍えていた蝶がサナギの皮を遠くへ吹きとばして、飛び起き、湿った二対の羽を揺すったのだ。」

恋する女性に間もなく会うという場面では
「もろもろの喜びが、深紅の蝶たちのように、飛びながら彼をおいかけ、部屋の床板の月の光に照らされている箇所はいずれも蝶の花の花壇と化した。」

こんな具合です。

そして主人公はロマンチストな性格。徒歩での旅の高揚感を即興の詩でうたいます。ロマン派の文学っていつもこんなん。。。
「さあ、さまよって行きたまえ、お前たちかわいい蝶よ。(中略)風に吹かれたまえ。輝きのなかで戯れ、花々のようにただやさしく生からふるえつつ走りさりたまえ。」


この小説からインスピレーションを受けて作曲したというシューマン。
タイトルを「蝶々」にしたというのがオシャレ。
文学青年っぽい。



それから、この小説の主人公がえらいロマンチストなのです。旅の場面ももちろんですが、先述の恋に目覚める場面が極めつけ。蝶による心理描写のあとに、主人公の独白が続きます。

「あぁ、僕はこの星たちを彼女のために摘み取って、きらめく宝石の花束を編み上げ、月に咲くやさしい百合たちをそれに結びつけて、彼女が眠っている間に、その枕もとに置くことが出来そうな気がする。誰がそれをしたか、たとえ何びとも知らないとしても、僕は満足することだろう。」

おぉぉぉ。ロマンチック。ロマン派文学。



この主人公とシューマンが、私のなかでカブります。
シューマンってこんな人だったんじゃなかろうか?
と思うわけです。

シューマンの伝記やクララ・シューマンの伝記を読めば、シューマンがロマンチストであったことは明らか。

だからこそシューマンはこの小説が大好きだったんだろうなぁ、と思います。




ところでこの小説の主人公について、「生意気盛り」の日本語訳を書いた岩田行一氏によると、

「主人公の世界を光明で満たす創造的な想像力は、彼を鎧のように現実から守り、幻滅を抱かされるような一切の葛藤を免れさせる。彼はその意味では経験的な現象世界を超出している。」

「まさに、ここには世界なき、より高い現実を夢見る芸術家のこの世における生存が描かれている。」

と解説されています。

シューマンにもそっくりそのまま、当てはまるよね。。。


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