ピアノを練習する上での楽器の大切さ

ピアノを習い始める時に必要なのが、家で練習するための楽器です。

最近は、購入費用や維持費、設置場所の関係で電子ピアノを買う方が多いですが、私はお勧めしま

せん。

勿論、ピアノはアップライトの普及品であっても４０万円弱からと値が張るので、購入を躊躇する親御

さんの気持ちも分からないではありません。

けれど、始めからピアノで練習するのと、ピアノ以外のピアノの様な楽器、例えばキーボード、オルガ

ン、電子ピアノ、電子オルガンで練習するのでは、雲泥の差があるのです。

まず、音を出す仕組みが違います。

ピアノを習う事はつまり、ピアノの音の出し方を習う事ですから、音を出す仕組みが違うと根本が異

なってしまいます。

電子的な物を一切排除しているピアノは、弦とハンマー、響板などで音を出すので、奏者の指や手、

腕、身体などが全て関わりあって音を作り出すのです。

それは人間にしか出来ないような微妙な技のコントロールの結果なので、同じ楽器を弾いても奏者ご

とに様々な音色が出ます。ところが電子的な楽器は、設定されている音色が始めから決まっているの

で、誰が弾いても同じ音しか出ません。違うのは、指の動かし方の巧みさや、楽器によって程度は違

いますが強弱の差位です。

ピアノ以外のピアノに似て非なる楽器は、形こそ鍵盤が付いているという点はピアノと同じですが、中

身は全く違う楽器なのです。

ですから皆さんが良く買われる電子ピアノは、指の動かし方と鍵盤を繋ぐ事や音符の読み方などを習

うごく初歩の時期ならまあ使えますが、少し進んだ教本を弾くようになると全く使い物にならなくなりま

す。

音の出し方がピアノとは全く違うので、先生の家でピアノを弾いた時に上手く弾けなくなり、先生の注

意されている事を家で練習できなくなるのです。

ですから始めは電子ピアノで始めたとしても、ニ三年も経つとピアノに買い替える必要が出てきます。

今の電子ピアノは出来るだけピアノに近く作られているので、上位機種を買う場合はニ三年は耐えら

れるかもしれませんが、キーボードや電子オルガンなどではせいぜい始めの一年位しか使えないと思

います。

ピアノは上位機種の新品だと１００万位しますが、中古だと３０万位からでも買えますし、知り合いから

譲ってもらうならもっと安く１０万～１５万位でも手に入れられる可能性があります。

新品で３０万台の普及品のピアノもありますが、私は余りお勧めしません。それなら同じ価格帯のもっ

と上位機種の中古が良いでしょう。

場所は横幅は電子ピアノもピアノもそれほど変わりませんが、高さと奥行きがピアノの方が少し大きい

ですから、電子ピアノを置く場所があるなら小型のピアノならほぼ同じスペースに置くことが可能です。

私のシニアコースの生徒さんで、電子ピアノで二年間ピアノを習っている方がいます。

その方は、毎回のレッスンでいつも、家の電子ピアノとタッチが違う事に違和感を感じるので、最近中

古のピアノを買われ、昨日一月ぶりにレッスンに来られたのですが、一月間新しく買ったピアノで練習

しただけで、レッスンでの音が全く別人のように変わり、とても良い音で滑らかに弾けるようになったの

です。

私自身もびっくりする位に音が変わったので、今回楽器の大切さを実感し、このブログに書く事にした

のです。

ご本人もタッチや音が良くなったので家での練習が楽しくなり、ますますやる気が出るようになったそう

です。

ですから、ピアノを習って上手くなりたい方やわが子に上手くなって欲しい親御さんは、是非始めから

ピアノを用意してあげて欲しいと思います。

因みにその生徒さんはヤフーのオークションで個人的な取引で譲って貰ったそうで、業者を通すより

ずっと安く手に入れられたそうです。