信じる

信じるという合唱曲がありますが、その歌についてではありません。

私はかつて勤務した学校の校長先生から、教育は、
「待つこと、信じること、許すこと」だと教わりました。


実力とはかけはなれた合唱曲の伴奏をすることになった子がいます。

６月頃にこの話を聞いていたのですが、いつまでたっても、曲名もわからず、もちろん楽譜を持ってきませんでした。

ついに夏休みに入ってしまい、ようやく曲名がわかりました。

待ちきれず、私は自ら楽譜を注文し、拡大コピーして、彼女が弾きやすくなるように、階名を書いたり、指使いを書いたりしました。

学校に電話をして、音楽科の先生に、音を省略していいかどうか尋ねました。

省略していいどころか、彼女が弾けるようにしてくれることがありがたいとおっしゃっいました。

しかし、とことん省略した楽譜にすると、彼女はもっと音を入れたいといい出しました。

私はもう一度、楽譜を作り直しました。
正直なところ、ものすごく面倒な作業でした。

いつもあまり練習してこない彼女です。こんなに頑張ってつくったって、無駄なんじゃないかと思いました。
そんなとき、私の脳裏をかすめたのは、信じるという言葉でした。

書き直した楽譜で、彼女は変わりました。
きっちり練習してくるようになり、ぐんぐん上達しています。
きょうも、台風の中、お稽古にきました。今週は四回目です。

教育は信じることだとつくづく思いました。