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思い出すこと

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3.11で思い出すこと。
当時の職場は関東だったこともあり、地震の影響をモロに受けたことが鮮明に思い出されます。

その日はショッピングモール内でのレッスンだったのですが、
生徒のレッスン中に大きな揺れがあったので、慌てて廊下に出ると、停電、一瞬暗くなったと思えば非常灯がぼんやりとつき、映画タイタニックの船のような雰囲気になってしまったのが印象的です。
またレッスン室が建物のもっとも奥の方で窓もない状況だったので、さすがに危機感を覚えました。

幸い私も一人ではなかったのでその後はお店の方や生徒さんのお母様と共に行動したものの、
ショッピングモール内にいた人が一斉に駐車場へ避難され、大人の方の多くも心配と不安から泣いてしまっている方も多く、現場の方々はそれでも小さなお子さん達に向けて毛布や体を温められるものを配っていた姿をよく覚えています。

電車も停まってしまって、移動手段は己の足かバスのみ。
そのバスも、信号が消えてしまったことから渋滞に次ぐ渋滞で、途中から目的地まで歩いていくことになりました。

当時はまだガラケーの時代だったので、今のようにネットニュースもすぐさま確認することができず、
私は停電した祖母の自宅へ様子見がてら訪問、その後、母に車で迎えに来てもらい、帰宅した自宅のTVで見た被災地のニュースに驚きを隠せませんでした。

もう遠い過去のように感じられてしまいますが、まだ10年も経っていないのですよね。

あの時、自分が仕事として成り立たせてもらっている音楽というジャンルは、平和な世の中の上に成り立っている究極の娯楽なのではないかと実感しました。
当時アルバイトをしていたドラッグストアでは店の中を埋め尽くすほどの長蛇の列で、停電の中、電卓を使いながらの会計を行なっていた記憶があります。
生きるのに必死な人々の姿を見て、私も他人事ではないはずなのにとても愕然とした思いを味わいました。

今は、音楽よりも食べ物、水、電気が人の支えになるものなのだと。
音楽は、言ってしまえば生きる上では、生命を成り立たせるためにはあってもなくても構わないものなのだな、と、多くの音楽家の皆さんが自問自答する姿も目の当たりにしました。
自分には何が出来るのだろう、と。



音楽は人生を豊かにしてくれるものです。
それは自身が演奏しても、演奏を聴く側でも、
心を豊かにしてくれるものだと思っています。


音楽ができるということは、それだけでとても平和で豊かであるということ。
そのありがたさを私自身忘れずに生きていきたいな、と思うばかりです。
可能な限りその楽しさをたくさんの人にお届けできるよう、私も頑張っていこうと改めて思います。



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