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ハイテンションなもの

ハートピアノ教室



 ある日、テレビから俳優達のハイテンションな声が聞こえてきた。何か事件が起きた風でもないのに、一つの場面中絶えず興奮して大きい声でセリフを言い続けている。フィクションなのだからこれくらいが普通なのだろう。どんなに上手い俳優でも、実際のしゃべり方と演技のそれではやっぱり全然違うように。ただ、のべつ幕なしにハイテンションというのは現実的にどうだろうか。もちろん元々声が大きい人やお酒の席などそういう場面がないこともないけれども…。

 ショパンの作品は美しく、ソフトな口調で語りかける。音量の指示もp(ピアノ/弱く)からmf(メゾフォルテ/やや強く)の範囲で展開し、ワルツやノクターンのうちの社交的要素を含む作品ではf(フォルテ/強く)は曲の盛り上がりをきらびやかに彩るために使われる。どんなに音楽が高揚しようと、ショパンは伏し目がちに微笑みをたたえてその細く美しい長い指で優しく手招きをするだけで、汗の一滴もにじませない。

 しかし、バラードやスケルツォまた晩年の他の作品などからは、怒りを爆発させ苦悩を吐露するショパンが聴こえてくる。ただ、そのような曲の場合も表現の鍵となるのはそこに至るまでの弱音である。 ピアノという楽器は、どうしても“弾く”という作業に集中しがちで、身体を一生懸命使っているとハイテンションや大きい音になりがちだ。テンションを上げて表現することも大事だが、人のありようと同じように、弱音や淡々とした音運びの中にこそ真実があぶりだされることもある。


 ショパン自身めったに大声をあげない人間だった。生来の身体の弱さからか神経質で、その精神の本質は頑固で人に迎合することを好まなかったが、パリの社交界では物腰柔らかな人間として通っていたようだ。しかし、上流階級の令嬢たちに優しくピアノの手ほどきをし、高貴な身のこなしで美しい音楽の世界に誘うように見えて、いったん彼の逆鱗に触れるとそれは手が付けられないほどだった。虚弱な身体を抱え、亡命者として異国の地でじっと耐えなければならない苦悩は計り知れないものがあったことは想像される。

 特に悲しみに耐えている時や、苦しみがその人の生気までも奪ってしまいそうな時、人は静かにその試練に耐えようとする。ひっそりと息を殺して黙々と人はそれを乗り越えようとする。そしてもうこれ以上の試練を抱えきれなくなった時になって、大声で泣いたり叫んだり、激しくこぶしをたたきつけたりするのかもしれない。

 ショパンの書くfff(とても強く)は特別なのだ。

http://pnet.kawai.jp/602574/topics/67547/(それが“年”というものですよ?! 演奏の説得力とは?)もご覧ください。

   
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