日本全国のピアノ教室が5000件以上掲載!

白昼夢⑥

 2019年12月。見事なまでの黄金色の銀杏からは、掃いても掃いても黄金の雨が降り注ぎます。樹齢100年以上の落葉樹たちからも、ものすごい音の洪水です。思わず立ち止まって目をつぶる私を、通行人が不思議そうに見ていきます。ふと、どこからかピアノの音がしてきます。そして男性の大きな声。

____________________________


「先生、どうしてもリストの《愛の夢》が弾けるようになりたいんです。」
「まあ、《愛の夢》を?」
「はい。初心者でも弾けるようになりますか?」
「49歳でしたよね…。そんなにピアノがお好きなんですか?」
「…。」
「とっても難しい曲ですよ。2,3年くらいじゃ絶対弾けませんよ。」
「大丈夫です。」
「ほかにお好きな曲はありますか?」
「いえ、《愛の夢》ばっかり聴いています。先生、お願いします!どうしても弾きたいんです。」
「毎日毎日練習して、簡単な曲から積み上げていかないとできませんよ。練習時間はとれますか?」

「海外出張の時はできないかもしれないけど…、いや、むこうでスタジオを借りて少しでもやります!飛行機や電車の中ででも楽譜をながめることもできますし。ピアノのそばで生きていきたいんです。これからの私の人生の残りはずっとピアノの音と共に過ごしたいんです。私は今まで仕事をすることで生きている実感を味わってきました。そんな中、妻が先日他界しました。妻にピアノ一筋で生きろって言ったのは私なんです。だから子どももいません。もっと違う生き方があったかもしれないのに。私にとって、妻は相性良くセットで生きている人として“存在”だけしていてくれればよかったのかもしれない。僕はひどい人間だ。そう、たまに妻は私に冷たい視線を向けるときがありました。でもそういうときは気づかないふりをしていれば、しばらくすると気のせいのようにも感じられ、何もなかったように時は過ぎ去りました。でも私はなんとなく分かっていた。知らないふりをしていた。」

「まあ、それでピアノを…?」
「《愛の夢》はピアニストだった彼女がアンコールでよく弾いていた曲です。妻がこの曲を弾きながら何を思っていたか、日々何を問いかけていたかを感じたいんです!!」
_____________________________________


12月のある日の白昼夢です。 ※白昼夢はフィクションですhttps://pnet.kawai.jp/602574/topics/113036/ 愛の夢 もご覧ください。   

HEART PIANO ハートピアノ教室      













































































































































































































































































.


↓お問い合わせは、こちらからどうぞ!↓

↓お問い合わせ・体験のお申し込みはこちらから!↓

この教室へお問い合わせ

↑体験レッスンお申し込みも、こちらからどうぞ!↑

このブログへのコメント