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シューベルト 即興曲 D899-3 変ト長調

5月14日(日)、音降りそそぐ武蔵ホールでの公演、「午後のピアノ・トリオ」では、シューベルトの《4つの即興曲 D899》 より、第3曲 Ges-dur (変ト長調)をピアノソロで演奏いたします。

4つの即興曲 D899はシューベルトが30歳の頃に作曲した作品です。
シューベルトは31歳という若さでこの世を去りましたが、この作品も「晩年の作品」と呼ばれています。
ただ私は、シューベルト自身がこの作品を書いた時にはまだまだ創作意欲も活動も勢力的だったため、シューベルト本人にとっては晩年というよりむしろ「円熟期の作品」と捉えていいのではないか、と考えています。
第1曲、第2曲は作曲された年に出版されましたが、第3曲、第4曲はシューベルトが亡くなって約30年後に出版されました。

この第3曲の拍子は2分の4拍子。
2分の2拍子でも4分の4拍子でもなく、2分の4拍子で書かれているところにシューベルトのこの曲に対するイメージと音楽的な趣向が読み取れます。

また、Ges-durという調性もまた特別といえるでしょう。Ges-durというと、ショパンはワルツ、黒鍵、蝶々のエチュード、そして即興曲 第3番など、この調性で複数の曲を書いています。
確固たる証拠はありませんが、ショパンはこのシューベルトの即興曲 第3曲を意識して自身の即興曲第3番も同じGes-durにしたのではないかな、と私は勝手に思っています。
ドヴォルザークのユーモレスクをクライスラーが、サン=サーンスの白鳥をハイフェッツがそれぞれヴァイオリン用にGes-durで編曲していますが、原調のG-durとは全く趣きも響きも異なり、何かに包まれているかのような音楽表現と演奏効果が見られます。

生徒がこのシューベルトの即興曲 Ges-durに取り組む時、私は「冒頭部の何小節かでいいのでまずG-durで弾いてみて」と伝えています。
その後にGes-durで弾いてもらいます。
みなさん「あ!!!」と何か掴めた反応をしてくれます。

そして、この曲は「無言歌」であること。
旋律と分散和音のハーモニーの役割はもちろんのこと、低音は常にチェロで奏でているような歌があること。
シューベルトが好んでいたダクチュル音型、和声の変化、移ろい、天国的な美しさ、など。
一見単調に感じられるこの曲には奥深いさまざまな音楽的要素が織り込まれており、弾きこなすのは容易ではありません。

私はこの曲を小学4年生の時に先生からの課題で弾きました。
元々手は大きかったので、テクニック的にはそれほど苦労はしませんでしたが、この曲に求められる音色や音楽的なものがどれほど表現できていたかは不明です。
とにかくディヌ・リパッティのLPをすり減るほど聴き、ため息が出るほどの天国的な美しさに少しでも近づきたい!と真剣に練習しました。
同時期に祖父が他界したこともあり、この曲は10歳の私にとって「さようなら」の音楽のように感じられ、幼いながらもこの曲の魅力にとりつかれていたことは記憶に残っています。

20年ほど前から数年に一度演奏してきましたが、5月14日のコンサートでも心をこめて演奏させていただきます。

An die musik ピアノ教室
竹村浄子


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