新緑がさわやかですね。

もうすぐ5月。ヨーロッパでは、たくさんの花が開花し、一斉に春らしくなるこの時期をとても大事にしています。私が留学中、師事していたヨーゼフ・ディヒラー先生は、私がレッスンで元気がない時、このような新緑の時期にウィーンの森に散歩に連れ出してくださいました。もう、ずいぶん昔のことですが、今でもはっきり思い出すことができます。レッスンで演奏すると、演奏自体より、今の私の心境を察してくださって、「演奏に余裕が全然ないね」とおっしゃり、なんと、先生のご自宅の前から路面電車に乗って、ウィーンの森に連れて行ってくださいました。
鳥の声、小川のせせらぎ、ワイン畑の風景、そういうことをゆったり楽しもうとおっしゃるのです。そして、今日は、ピアノを弾くのをやめなさい。深呼吸して、また明日、練習を開始しなさい。と言われ、その通りにしましたら、なんと、音楽がよく見えてきたことを思い出します。

何事も努力して頑張ろうと思うのが若いころですが（笑）、心に余裕がないと見えるものも見えなくなることを教えていただいた、すてきな経験です。

そんな経験を生徒さんたちにも応用したいといつも考えています。その日によっては、元気のないひもありますし、学校でイヤなことがあったかもしれません。そんな生徒さんの心までも見通し、レッスンができるよう努めています。

新緑の５月、私とともにピアノを始めませんか？