どんな『ドレミファソ』?
ピアノはほかの楽器とは違い、鍵盤を押せば音が出ます。
じゃあ、例えば猫が鍵盤の上を歩いてドの音を出したときと、人間がドの音を弾いたとき、全く同じ音色になるのでしょうか。
答えはNOです。
同じ重さで鍵盤を押したとしても、指の角度、打鍵の速度、その他様々な要因が重なって出てくる音色は違ってきます。
単純な違いで言えば、大きい、小さい。
そして弾き方によっては「やさしい音」「力強い音」「かなしい音」「やわらかい音」「ふわふわな音」「甘い音」「かたい音」「透明な音」「なめらかな音」などなど、無数の種類の音を出すことができるのです。
この弾き分けをするには練習の積み重ねが必要です。
ですがその前に、色んな音があるということを知らなくてはなりません。知らなければその音を作り出すことができませんので。
これにも積み重ねが必要です。意識的に「聴こう」という姿勢と、たくさんの音楽に触れること。
そうして初めて様々な音色を聴き分け、感じることができるのです。
様々な音を感じることのできる耳を育てる。それが音楽教育における「感性を育てる」ということなのではないかと私は思っています。
なにやら硬い文章になってしまいましたが、これはとてもわくわくする楽しいことなんです。
楽譜に「ドレミファソ」という音があるとします。
楽しい気持ちで弾けば、それは楽しい「ドレミファソ」になるし、悲しい気持ちで弾けば、悲しい「ドレミファソ」になる。
同じ楽しいでも、ドキドキするような楽しさなのか、わくわくするような楽しさなのか、そんな些細な違いで音は変わってきます。
その、無数の音の違いを感じることができるということは、それだけ世界が豊かになるということです。
この「感性を育てる」ということを私は一つの目標にしているのですが、教えるのはなかなかに難しいと日々実感しています。
物の感じ方は一朝一夕で育つものではなく、少しずつ時間をかけて人の心の中で形成されていくものだからです。
そしてひとりひとり独自の感じ方があり、これが正解といったものがありません。だからこそ面白いとも言えます。
私自身も自分の感性を磨いている途中でもあります。
ピアノという楽器を通して様々な音の世界を生徒さんに感じて欲しい。
その大きな目標を胸に、生徒さんと一緒に色んな響きを模索していきたいと思っています。
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