Sちゃんのコンクール

  Ｓちゃんはちょっとしたピアノのコンクールの予選を通り、昨日その本選に出場しました。残念ながら、賞を貰うことはできませんでした。でも、彼女にとって、この本選出場は大きな意義があったと思います。
  彼女は、とてもよく練習をしました。努力をしました。幼いなりに曲の研究もしました。でも、昨日、彼女より素敵な音楽を作り出した同年齢の多くの人たちを目の当たりにしました。そのことで、彼女が萎縮をするのではなく、「自分も頑張ったけど、世の中にはそれを上回るぐらい頑張った人たちがいるんだ」ということに気づいてくれたように思います。将来、彼女がピアニストを目指そうが目指すまいが、要するに「実るほどに頭を垂れる稲穂かな」だと思うのです。広く色々なことを知ったり経験した人は、広い視野で物事を判断します。残念ながら、そのような経験に乏しい人は、「お山の大将」になりがちです。
   私は彼女をピアニストに育てる力は持ち合わせていません。でも、彼女とのレッスンを通して、人としてどうあるべきかを、わずかであってもレッスンを通して彼女が学んでくれたらと思っています。また、彼女はいつもとても謙虚で、かつ努力家です。彼女を通してピアノ教師として「井の中の蛙大海を知らず」であってならない、と教えられている気がします。
  Ｓちゃんにとっても私にとっても、一連のコンクールはとても有意義なものでした。