調律

30年近く共に過ごしてきた我が家のグランドピアノは、調律のおかげで常に心地よい音色が保たれています。
調律していただくときに必ず弾いていて気になるところを聞かれます。今回は高音域の２音くらいに違和感があることをお伝えしました。全体がハリのある明るい音色なのに、なぜかその２音だけとても曇った音、ソフトペダルを踏んだ時のような音になっていました。
音の質感を一定にしていただくようにお願いしたところ、今の音色はお部屋の広さに対して華やかすぎる印象なので、全体的に少しだけ明るさを抑えた音色に調整することを提案されました。

そういえば…子供の頃から華やかな音色が好きでずっとそのように調整していただいていましたし、似たような音色のピアノにしか出会うことがありませんでした。しかし、あるとき勤めていた楽器店の倉庫に置かれていたピアノを何気なく弾いたときに、今までとは全く違うやわらかな音色が聴こえてきました。ん？この音は何？？と、ものすごい衝撃をうけ一瞬でその音色に魅了されました。そして後日、調律師さんにそのことをお伝えし、うちのピアノも同じ音色にして頂いたということがありました。
以来、特に音色は変えずに毎回調律していただいてきましたが、いつの間にかもとの華やかな音色になっていったようです。
あの頃の感動を再び…ではないですが、久しぶりに柔らかな音色にしていただくことにしました。

調律が終わって試弾すると、とてもまろやかな心地よい音色になっていました。かつて魅了されたあの音色と感動が蘇ってきました。調律とはなんと素晴らしきかな！このビフォーアフターが毎回本当に楽しみです。
この音色を味わいながら、また日々ピアノを奏でていきたいと思います。