最高齢の生徒さん

 昨日、ピアノの生徒が一人増えました。今までの私の生徒としては最高齢です。現在、８５歳！この３月末には８６歳だそうです。昨日はまず、右手でのハ長調の音階に挑戦してもらいました。ドの鍵盤は分かりますかと尋ねたところ、即、正しい鍵盤を弾きました。スケールは親指をくぐらせたりで初心者には結構難しいのですが、上行形も下行形もなんなくクリアーしてしまいました。その後、私が幼いころ使ったバイエルを引っ張り出し、右手のドレドレドーから練習をしてもらいました。音符を読むこともそう苦にはならないようでした。次回までの宿題として、バイエルの最初に載っている楽典のチョー初歩のところを読んでおくように、また毎日レッスンに通うようにお願いしました。とても嬉しそうに「はい！」と返事をしてくれました。で、彼女はレッスン室を出て我が家の居間へ…？！

   そう、この最高齢の新しい生徒さんは、私の母です！

 彼女はとても音楽好きでした。私たち姉弟が幼いころ、母はたくさんの歌を歌ってくれました。そのことが、私が音楽を好きになった原因の一つだと思っています。今も時折、私の留守の時にピアに向かい、両手を使いユニゾンで昔の日本の歌を弾いているのを、私は知っていました。知人にピアノの音が大好きだと言ったそうです。最近、腰を痛め外出する機会が以前に比べ少なくなりました。その分、家の中で新しいことに挑戦してもらおうと、昨日を持って、私の最高齢の生徒さんになってもらいました。約半世紀前に母に買ってもらったバイエルの教本が今、母のために役立つとは思いもよりませんでした。昨日のレッスン後、私が他の部屋で仕事をしていると、レッスン室からバイエルのメロディーが聞こえてきました。母は早速、レッスンの復習をしていました。今日も、私のピアノの練習後に、彼女はバイエル教本片手にレッスン室を訪れることでしょう。