ピアノ・退会の流儀

月末のある晩、
小学3年の生徒さんのお母様からメールが。


内容は、

「中学受験の塾に通うことになったので、
明日のレッスンで退会したい。」

というものでした。


退会連絡は退会月の前月にと
お願いしていますが、

皆さん言い出しにくいのか、
退会月の初めにご連絡いただく事が多いです。

が、前日に退会連絡がくるのは、
突然すぎて、さすがにショックです。


そのメールの中に、

「先生のレッスンは楽しくて、
いつも楽しみに行っていました。
ピアノは大好きだから、毎日弾きます。」

と、あるではありませんか。
　

それなら塾が本格化するまで、
もう少し様子をみてもいいのでは？と、
悶々してしまいました。


ピアノのレッスンは、マンツーマン。
毎週1回40分間、生徒さんに全力で
向き合います。

退会を決めたのなら、
引き留めることはしませんが、

教師は、言いたいことをグッと飲み込み、
最後まで楽しく送り出します。
これはプロとして当然の事です。

しかし、やり切れなさは残ります。


次の日、その生徒さんのお母様が、
ご挨拶に見えました。


「いきなりで、すいません」


「はい、
突然の事なので大変びっくりしています。」

(機会がある時は、こちらの本音、生徒さんへの思いをお伝えさせて頂いています。
このお母様はさっぱりと気持ちの良い方で
お話ししやすかったです)


という会話から始まり、


メール以外でのお母様の気持ちが聞けて、
こちらの気持ちもお話しできた事で、
かなりスッキリしました。


一般的に退会の理由は、
主となる理由のほか、

様々な理由や想い、時には年数が絡み合い、　
なかなか複雑です。

これという理由を
一言では言い表せない場合も多いと思います。

メールだけだと、
お互い伝え切れない気持ちが残るので、
やはり直接お話しさせて頂く方がいいですね。

去っていく方は、
皆さん感謝の意を表してくださいますが、

できたら今回のように、
教師側の気持ちも受け止めていただければ、


教師は、
退会する生徒さんを心残りなく送り出し、

新たな生徒さんをお迎えする活力にできるかなと思います。




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