『シーモアさんと大人のための人生入門』

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『シーモアさんと大人のための人生入門』
昨年ミニシアターを中心に公開された映画です。
シーモア・バーンスタインさんは
89歳のピアノ教師。
50歳でコンサート・ピアニストとしての活動に
終止符を打ち、
以後の人生を「教える」ことに
捧げていらっしゃいます。

57年間暮らすワンルームのアパートメント。
朝起きてベットをたたんでソファーにし、
軽くシリアルの朝食をとり、
部屋を整えて生徒さんを迎える、
そんなシーンから映画は始まります。

ピアニストとしての成功、
朝鮮戦争従軍中は戦友を励ますために
戦地でもピアノを弾いたけれど、
命までは守れなかったと
涙ぐむシーンには胸が詰まる思いが…。

演奏会にまつわる不安や恐怖の思い出。
シーモア先生は美しいピアノの調べとともに
語ります。

彼のあたたかく繊細な言葉は、
すべてを包み込むように、
私たちの心を豊かな場所へと導いてくれる…
そんな映画です。



華やかなドレス、
きらびやかな装飾品、
まばゆいスポットライトを
浴びて演奏するステージ…
ピアノにはどこか優雅なイメージが
あるかもしれません。

勿論時には演出の力を借りて
聞いてくださるかたに、
しばし現実を離れて
夢のような時間を過ごしていただくことは
大事だと思います。
夢のような時間だった…
そう感じていただけることは
演奏するものにとって
とても嬉しいことでもあります。

ただ、そもそも自分が音楽を通して
伝えたいことは何だろう‥
一番伝えたいことは何だろう‥
そう突き詰めて考えていくと、
それは決して豪華な演出などではなく
本当はとてもシンプルなこと。
それは音楽を通じて出会った方々への
感謝の気持ちと幸せを願う思い。
それに尽きるのではないかと。
映画を観ながらそのようなことを考えました。




じぶんの心と向き合うこと、
シンプルに生きること、
成功したい気持ちを手放すこと。
積み重ねることで、人生は充実する。

シーモア・バーンスタイン