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フェリーニ 「アマルコルド」

結婚式は人生の祝宴です。

結婚式の演奏を頼まれると 必ず1曲目に弾く曲があります。今年の1月の時も弾かせてもらいました。

フェリーニの映画「アマルコルド」のテーマ曲です。ニーノロータが作曲した、喜びの中に憂いを秘めたような音楽です。幸せなような、残酷なような、嬉しいような、悲しいような、心がかき乱される音楽です。

映画もまた 人生について考えさせられるような、いや考える事をやめるようにって問いかけてくるような不思議な、素敵な映画です。

最近フェリーニの「アマルコルド」のDVD、ブルーレイが発売されました。

もう30年以上も前の話です。当時僕が勤めていたテレビ局で 淀川長治の講演会と映画を上映する催しが静岡市民文化会館でありました。
僕は映画が好きだったので 淀川長治の付き人の係を命じられました。前日の土曜日の夕方だったと思います。静岡駅にお迎えに行って高橋常務が待っている会食のお店までタクシーでお連れして その日の任務は終わりました。 

淀川長治ついては思い出があります。
父が買ってきたレコードに 淀川長治のチャップリンの映画解説をした2枚組のレコードがありました。父の影響で中学生の頃よくそのレコードを聞いていました。淀川長治がすごく好きでした。

大学1年生の時 日吉の大教室で淀川長治の講演会がありました。
午後の4時ぐらいからだったと思います。聞きに行きたくなりました。
が、必修科目のドイツ語の授業と重なりました。そのドイツ語の大橋先生は すごく単位取るのに厳しい先生で有名でした。運が悪い事に ふたコマの必修科目だったので、そのドイツ語のふたコマと何かひとつの必修科目を落とすと留年してしまいます。(実際多くのクラスメイトが留年しました。)試験が出来る自信がなかったので せめて出席日数だけでもよくしたいって思っていました。
でもどうしても行きたかったので 出欠の返事をした後、手をあげて先生に「講演会に行かせてください。ドイツ語の授業も大事だと思いますが、淀川長治の講演を聞く事も同じぐらい大事だと思います。行かせてください」って直訴しました。
ここからが いい話です。
大橋先生は「いいとは僕からは言えないので もし聞きたいのなら分からないように出て行ってください。」
嬉しかったです。まあ こんな直訴をする馬鹿な生徒もいないと思いますが、嬉しかったです。廊下側の窓の下に50センチぐらいの引き戸がありました。這って廊下に出ました。可笑しいことに何人かついてくる人がいました。いい先生だなあ、淀川長治を聞くこと以上に嬉しくなりました。人の良さに触れると本当に嬉しくなります。


さて次の日、迎えに行ったのは静岡ターミナルホテルだったと思います。静岡市民文化会館までタクシーで送って あとは楽屋で淀川長治のそばで話を聞いたりしながら 特にすることもなく待機していました。サインをしてもらおうと(どきどき)、こっそり持っていったチャップリンの映画解説をした2枚組のレコードを見せた時 すごく嬉しそうでした。

講演は1時間半ぐらいだったと思います。「イスは要りません」って言って、立ったまま喋っていました。僕もホールの袖口のところで立って背を伸ばして聞いていました。
講演が終わって楽屋に戻って「楽屋にいて 何かの時の連絡係とかしないといけないですが、フェリーニの映画を見たいです」って淀川長治に言いました。すると「あなたはテレビ局の局員だったのですね、映画サークルか何かの方だと思っていました。もう僕の付き人はいいから 映画をみなさい それがあなたの仕事です。さあ おいきなさい」

職場放棄をして 客席にもぐりこみました。

その時見た映画が「アマルコルド」でした。
当時25才ぐらいの僕には 気づけない、分からないような感情、シーンがいっぱいあったと思います。今見ると「人生は残酷で悲しい事もあるけれど、美しい。でも立ち止まらずに前に行こう。何があっても前に行くんだよ。また明日やまた春がくる あなたが考えていようが、いまいが…。さあ、楽しまなきゃあ。」

講演会に母と一緒に来てくれた父は当時55才でした。映画の冒頭で春の綿毛が飛ぶシーンのことを何度も話していました。今の僕だったら もっと共通の感情が共有できたかなって思います。

映画を見終わった後 会社で同期のあっこちゃんが「小澤くんが出てたよ。「女が欲しい」って言って木から降りてこない叔父さん 小澤くんかと思った」って言っていたのを覚えています。
その時はただ面白かっただけだったけれど、その叔父さん 心が壊れて療養所にいる設定だったことに今回驚き、心に響きました。可笑しい場面でなくて、人生の悲しい場面に思えてきました。映画の見え方がいろいろ変わりました。すこしは成長したのかなあ…。

「アマルコルド」いい映画です。いい音楽です。機会があったら 是非ふれてみてください。


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