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自然と音楽①






自然と音楽①


 朝。健軍神社でしきりにウグイスが鳴く。春なんだなとしみじみ思う。ここでは年中たっぷりと鳥の声を聞くことが出来る。ウグイスの声のおかげで空気が更に澄みきる。特に朝は格別だ。その日によって近くから、遠くから、すがすがしい空気にのって聞こえてくる鳥の声は本当に美しく、生命の息吹にあふれている。他のことをするのがもったいない。彼らの奏でる素晴らしい音楽にしばし耳を澄ます。

 夜。春は穏やかなようで突然の嵐がつきものだ。神社の昼間の鳥たちはどうやってこの雨風をしのいでいるのだろう…。風の音や樹々のざわめきを聞きながら夜中に眠れない時、頭の中に昼間の鳥のさえずりがよみがえる。海や、川の近くに住んでいればまた違う音が聞こえてくるだろう。

 起きだしてシューマン「予言の鳥」を聴く。不吉な響き。 “気をつけろ! 油断するな!” アイヒェンドルフの詩「たそがれ」の世界は今夜のような夜なのか?胸がざわついて目がさえてくる。

 更に暗い空気を連れて滑り込んでくるのはラヴェルの「悲しき鳥」。暗い森の中、夏の灼熱でぐったりと喘いでいる鳥たちの物憂げな感じ。右手だけのシンプルな旋律の醸し出す独特の世界。♭シの連打の呼び起こす深層世界は“夜のガスパール”の「絞首台」にもつながる。鳥たちは突然飛び立つ。映画のようにこちらを襲ってきそうで薄気味悪い。

 心を落ち着けたくて次に聴くのはサンサーンス「白鳥」。水の上を優雅に進む白鳥。ゴドフスキ編曲のピアノ曲が気に入っている。美しい曲だ。しかし楽譜は音符の数が多く結構込み合っている。頭の中で指使いを考え始めると眠れなくなっていけない。

 気を取り直してマーラーの交響曲第1番「巨人」を聴く。森の夜が明けるように静かに始まる。やがてクラリネットが“カッコーカッコー”と鳴く。登場人物が次々と舞台に現れ、平和な日常が始まる。クラの音色が心地よくリラックスするが、楽章が進むにつれマーラー独特の苦難が現れてきて苦しくなる。音の洪水が私を森の中に置き去りにする。

 なぜか春は毎年ストラヴィンスキーに惹かれる。「ペトルーシュカ」「春の祭典」…。今夜も「火の鳥」を聴く。春の嵐と“魔王カシチェイの踊り”の共演は完璧だ。楽譜を引っ張り出してピアノを弾きたい衝動に駆られる。曲はやがて“子守歌”そして“終曲”と進み、我が家の外も静かになり、やっと眠気がやってくる。

 さて、おしまいにカザルスの「鳥の歌」を聴きながら寝ることにしよう。“ピースピース”と鳴くというカザルスの鳥。画期的なチェロの奏法を編み出し、生涯を世界平和活動に捧げた偉人カザルスは、80歳の時なんと20歳の女性と結婚。邪念でまた眠れなくなる。

 寝不足気味だが、真夜中に春の嵐の中で聴く鳥の音楽はなかなかいい。自然の音は毎日の生活になくてはならないものだ。雨の音や風の音、バイクや車が通り過ぎる音、遠くで犬が鳴く音。平和な日常を彩るいつもの音たちは、音楽と同じように私を包み込んで安心感を与えてくれる。朝が来たらまたウグイスが鳴くだろう。雨できれいに洗われた樹々の中で響き渡る声が楽しみだ。自然と音楽②へ続く…。


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