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ベーゼンの旅路

ピアノ購入をご検討しておられるY子ちゃんのご家族が、いくつかのショウルームに試弾に行かれたそうです。

ヤマハ銀座店に置いてある「ベーゼンドルファー」のグランドピアノをお気に召したとのことを、お父さまより伺いました。

ベーゼンドルファーがヤマハに買収されたのは2008年になりますが、あのときは、多くの音楽ファンがオークションに行方に注目していました。私もその中の一人です。ヤマハの勝利が報道された時は、嬉々としました!

ベーゼンドルファーは当時、既に 米国キンボールインターナショナルの傘下に入っていました。しかし実は、キンボールも赤字のベーゼンドルファーを手放しており、 2001年には「BAWAG」というオーストリア労働組合総同盟が所有する社民党系銀行に買い取られていたのです。よって、ベーゼンドルファーは、2001年に名実ともにオーストリアに戻っていたのです。

ところが、ベーゼンドルファーは2004年までに 600万ユーロの負債を抱え、更には、2005年にも200万ユーロの赤字を出すに至り、遂には、売却先を探し始めるに至りました。2006年3月の話です。

その最中、米商品先物仲介大手レフコの倒産の際、レフコに不正融資をしていたBAWAGと、その経営母体のオーストリア労働組合総同盟が経営危機になり、BAWAGが倒産に瀕するという状況に陥りました。政府により救済されたものの、ベーゼンドルファーの売却先を探す余裕はもはやBAWAGにはありませんでした。

オーストリア労働組合総同盟は2006年12月14日に、子会社のBAWAGを米投資ファンドのサーベラスに売却し、サーベラスはBAWAGの経営建て直しの一環として、傘下にあったベーゼンドルファーを売却すること決めました。

ベーゼンドルファーの売却話が、2007年の夏の終わりから再開したのには、このような背景があります。

ヤマハの買収額が上回っていたものの、ベーゼンドルファーのの全労働者は、これがオーストリアに留まることを要求したので、「ベーゼンドルファーと関りの深いブロードマンが有利」との情報をプレスから流し、事態が沈静するのを待とうとしました。

11月26日英タイムズは、「1100万ユーロでブロードマンに決まりかけた売却先は金曜(11月23日) オークションの終了間際の数分で1400万ユーロまでヤマハが買収額を吊り上げ、勝利を手にした」と報じました。

この瞬間を「ジャガーがトヨタを傘下に置いたようなものだ」と評した人々も多かったです。

「生産はオーストリアで行うこと」「179年の年月を経たブランドには触れないこと」「今期の中国におけるピアノ製造を40%まで 増加させ25,000台にし、それを販売するためロシアに販売会社を設立すること」がヤマハより公約されました。 また、「中国にヤマハの音楽教室のネットワークを拡大して40ヶ所にする計画」更には、「上海、北京、広州といった 人口密集地の10,000の子供たちに音楽レッスンを提供すること」といった、オーストリアの労働組合と、中国政府、およびベーゼンドルファーの職人さんへの配慮が最大限になされたものでした。

私が最初にオーケストラと共演したときのピアノが「ベーゼンドルファー」であったことから、このブランドに対しては、好みやクオリティーの問題を超えての思い入れがあります。機会があれば、是非お弾きになってみると良いですよ!


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