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バッハからバルトークへ

4期に分けてピアノを学ぶメソッドは、少しでも専門性を求める生徒さんの間では、今や常識となりましたね。

バロックの出発点を、「インベンションとシンフォニア」に置かれている先生は多いと思いますが、これはバッハ自身が序文の中に書いたように、「創意・工夫」と解釈されるものです。

「インベンション」というタイトルの由来は、フランチェスコ・アントニオ・ボンポルティ(1672年 - 1749年)が作曲した「通奏低音を伴う多声的な《ヴァイオリンのためのインヴェンツィオーネ Invenzione a violino solo》作品10」に遡ると言われています。

ヴィヴァルディの協奏曲集Op.8には、「和声と創意の試み」という名称がつけられているなどのことで分かるように、当時の作曲家の意図を知るためには、原義を離れて、作品をどのように取り扱って行かなければならないのかについて、歴史的、文化的、言語的といった多角的な考察をする事が必要とされますね。

バッハの時代にピアノが存在しなかったことを知らない人は多くありませんが、モーツァルトの時代になると知識があやふやになっている方が多いです。

モーツァルトの初期の作品はハープシコードが主たる鍵盤楽器でしたが、クリストフォッリのフォルテピアノが現れると、モーツァルトはそれを好んで使用しました。ペダルの位置が膝の高さにあったことや、鍵盤の数が約5オクターブしかなかったことも広く知られていますね。

モーツァルトには、ヨゼファ・アウアンハンマーという女性の生徒がいたのですが、彼女は5オクターブ半の鍵盤を装備するピアノを持っていたそうです。1781年、彼女に献呈された「2台ピアノのためのソナタ」だけが、5オクターブ以上の音域で書かれていますが、それ以外のピアノ曲の音域はもっと狭いです。

ベートーベンの時代になっても、5オクターブを超える鍵盤楽器は、まだ広く普及していませんでした。コンチェルト第3番を書き始め出版されるまでの間に、彼は5オクターブ半の楽器を入手したため、彼は上記のコンチェルトの音を一部書き直します。第4番では更に音域が広くなり、第5番では6オクターブ(低音F)まで使用しています。

「ハンマークラヴィーアソナタOp.106」においては、ベー(B)が、Op.101においては更に低いツェー(C)が使用されています。(現代のスタンダード型ピアノではAが、ベーゼンドルファーの97鍵モデルにおいては更に低いCが最低音)

私は、四期に分けて指導する際、最も困難を感じるのは、「現代音楽」です。生徒さんによっては、「ソステヌートペダルのついてないピアノ」で練習していらっしゃる方もいらっしゃいます。

バルトークの「ミクロクスモス」第1巻は一見簡単そうに見えますが、よく見ると、長調と短調だけでなく、ロクリアを含まない教会旋法が用いられており、第2巻になると、日本の古謡のほか、「バッハを称えて」「シューマンを称えて」など、時空を超越するかのような個性的な作品を前に、戸惑うことさえあります。

22番は音符を追っている限りは、さほど難しく見えませんが、内容を理解して演奏することを望むのであれば、生徒さんの「移調」または「相対性音感」の能力が要求されます。右手が左手よりも五度高いドリア旋法で書かれているため、移調することによって、作品の内容を理解することが出来ます。しかし、それまでの音感教育が充分になされてなかった場合は、それが大変困難になることもあります。

ここで、興味深いことが分かって来ました!

それは、作品の中に隠れている様々な旋法を「発見する」(そのような事柄は、楽譜に書かれてありませんから、生徒さんが「自分で試してながら発見する」か、「指導者の研究ノートに頼る」しかないですね。)ことが、ミクロコスモスを学習する大きな意味であり、また醍醐味であるということです。

「発見」すなわち「インベンション」「創意」「工夫」という音楽に対する基本姿勢は、遥かバロック時代(あるいはもっと前)に遡ることを、私たちはここで知ることが出来るのです。

一見、何の秩序にも従ってないように見える作品であっても、貴重な伝統的様式や形式を根底に据えているところは、バルトークの天才性を示すところです。

生徒さんにおかれましては、四期の作品を正しく、偏ることなく、また十分に理解を深めつつ、一生ものとして、勉強していって欲しいと願います。


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