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『色たくさんカシューナッツ』と『黒だけピアノ』

「どうしてピアノは黒いのか・・・?」

皆さんは、こんなことを考えたことがありますか?

実は、かつてのピアノは木目調だったのです。

19世紀前半までに製造されていたピアノの多くは、木目調でした。

18世紀にあっては、ピアノの上蓋や側板が、天使や植物などで彩られているものが多いですが、それは、「そのような装飾を通して、音楽以外の教養や趣味の高さをアピールする」という意図があったからです。

18世紀から19世紀にかけては、「金色の縁取りがなされる」など、装飾に手をかけたピアノも沢山作られました。

日本に最初にピアノが持ち込まれたのは、今から195年前の1823年(文政6年)のことです。
バイエルン王国(現ドイツ)の医師、シーボルトが、この年に長崎の出島に運び入れました。

塗装の歴史をみると、1800年ごろまでは木目で、表面には、ニスが塗られただけだったようです。その後、漆(天然のラッカー)が使われ、次第に、色が黒くなって行きました。

日本で製造された初期の黒塗りピアノの塗料には、大概、日本の伝統工芸の漆(うるし)が使われています。

恐らくですが、「湿気の多い日本の気候は、欧州と同じ木目仕上げは適さない」と考えられたからでしょう。漆は湿気に強く、しかも高級感があるため、最適な塗料と言えますね。

その後、ヤマハとかカワイ等がピアノ生産を競い合う中で、木目調も製造されていましたが、「木目調のピアノを作るには、薄く削いだ木目の板をピアノの表面に貼り付けて行く中で、ピアノ全体の木目模様を合わせる手間がかかる」一方、「黒いピアノでは木目を合わせる必要がない」という理由より、1920年以降は、ニトロセルロースのラッカーが塗料として用いられるようになります。

1950年頃からは、カシュー (1950年にカシュー株式会社が発明した合成塗料で、カシューナッツを原料にしたもの)が世界的に使用されるようになったので、世界中のピアノの黒の塗料の供給は、日本のカシュー社が行っていたということになります。カシューは漆に近いもので、湿気に強く、耐久性もあり、見栄えも良いため、高価な漆に代わり、瞬く間に、世界中のピアノの塗装に使われるようになったのです。

その後、石油化学の発達に伴い、ポリエステル等の黒色塗料の品質が向上し、同時に、二つのメーカー(ヤマハとカワイ)が生産コストを下げるために採用した黒塗りのピアノは、高度成長期の急速な需要の増加に応えるべく、非常な勢いで人々の間に普及してゆきました。

現在、木目調のピアノも製造・販売されていますが、多くは黒いピアノに比べ割高です。また、塗装が薄いため、外からの影響を受けやすいようです。ですから、外観、音質の両方に関して、メンテナンスをしっかり行う必要があります。

ところで、日本のメーカーが採用した「黒」が、何故、国際的に定着したのかということについては、まだ疑問が残ります。何故なら、カシュー塗料は「透明の場合、少し茶褐色になる」ということを除くと、色選択がほぼ自由に出来たからです。

「黒」という色がピアノの代表格になった経緯については、歴史を紐解いて、音楽以外の事柄に目を向けながら、その理由を探ってゆく必要があります。

それについては、後日のブログに書くことにしますね!


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