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ジャズとクラシック

今日は、「ジャスピアノを習いたい」という大人の方の「体験レッスン」をしました。即日ご入会いただき、誠に有難うございました!

この方はかつて、ジャズピアノ専門のお教室に一年ほど通われていたそうなのですが、「多数のコードや転回形、テンション、アドリブなどに圧倒されて、何も分からないまま挫折してしまった・・・。でも、ピアノは弾きたいし、ジャズにも興味がある。」とのお話でした。

そこで、いくつかの簡単なメロディーを、ジャズ風、クラシック風など、即興的に伴奏をつけて弾いて、それぞれの違いや特有の持ち味を体感して頂きました。

また、いきなりのアドリブではなく、記譜されている曲を、難易度のあまり高くないものから順を追って紹介しつつ、使用されているコードやリズムに解説を加えました。

多くの方が、「クラシック音楽では旋律が重視され、リズムは軽視されている。即興演奏は必要ない。」「ジャズではリズムが重視、スウィングはジャズ特有なので、クラシック音楽をやっている人には演奏出来ない。」と仰います。

しかし、クラシック音楽の作曲家として認められているオリビエ・メシアンの「四つのリズムエチュード」を、私自ら練習したときに直面した困難は、「旋律」ではなく、タイトルの示すとおり「リズム」に他なりませんでした。言う間でもなく、この練習曲には「小節線」がありません。しかし、それは「リズム不在」ということではなく、「内在している強烈なリズムの自己主張が、規則性を超えて曲を先導している」という見解に異論を唱える人は、殆どいないと思います。

バルトークの「ミクロコスモス」は非常に面白い教材なので、ピアノ教室で採用されている先生も多いと思いますが、これを全6巻学習した人なら誰でも、私がここで言いたい事はお分かりになると思います。即ち、バルトークが彼の故郷であるハンガリーの町や村を行き巡って採取したものは、メロディーだけではなく、その前に君臨するもの、すなわち「リズム」が如何に強く、彼の音楽の根幹に流れていたかということです。

また、「クラシック音楽では即興演奏が必要とされない」という意見にも、必ずしも賛同出来ません。何故なら、「バロック時代の通奏低音が、数字を頼りに演奏者が即興演奏をしていた」という事実や、「バロック時代の装飾音は即興的に演奏されていた」ということ、および、「古典派時代の協奏曲中に求められたカデンツァが、演奏者の自由な創意によって作曲、演奏されていたという慣習」などは周知の事実だからです。

そればかりか、楽譜を見て弾く場合でさえ、それを表現するかという問題に関しては、各演奏者が即興的に自らの感性に頼る部分が大きいのです。ルービンシュタインが若い頃、まだ初見に近い状態で演奏した場面に居合わせた人が、彼に贈った絶賛とは、あまり熟知してない音楽に対する演奏家の「即興性」という天才を感じ取ったからです。「円熟した彼が同一の曲を演奏したときには、その魅力ー即ち、未知のものに接するときに最大限に発揮される能力である『即興性』と『直観』を見ることは出来なかった。」と、多くのピアニストが一致した意見を持っています。

「即興性」というものは、「アゴーギク」や「ルバート」、および「イネガル奏法」といった、クラシック音楽の世界では、謂わば「分かり切った音楽用語」として知られている言葉と同じレベルでもって、ジャンルを問わずに求められている基本的な音楽に不可欠な要素なのです。

ですから、クラシック音楽家の中にも、ルバート奏法や即興演奏の得意な人もいれば、そうでない人もいます。「クラシック音楽においては印刷物が全て」と皮肉を言った人がいますが、私は、それと反対に、楽譜を指して、「それは、備忘用の手段に過ぎない」と表現しています。

それは、「楽譜に書かれていることがどうでも良い」という意味ではなく、むしろ、「楽譜に書かれていることから、その奥にある本質を見抜くことが大切であり、また、音楽を再創造することは作曲家が既に完成してしまった事業ではなく、むしろ、演奏者に委ねられていることである」という意味です。

ジャンルの壁を超えて、自由に音楽を楽しめると良いですね!


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