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アラベスク

シューマンのピアノ曲の中に「アラベスク」(op.18)という愛らしい曲があります。

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アラベスクは美術や建築における装飾用語で、蔦や葉、花が複雑に絡み合う優美な曲線を伴う唐草模様を指します。 

古代ギリシアの神殿などの遺跡で唐草文様の原型が見られたことから、古代エジプトやメソポタミアから始まり、世界各地に広がっていったと考えられているそうです。

先端をどこまでも伸ばしてゆく蔓つる植物がモチーフの唐草模様。

その生命力溢れる美しいモチーフは、文化も美意識も違う世界の人々を魅了していきました。

なかでもアラブ諸国ではモスクの装飾としてよく用いらます。

そのためヨーロッパでは唐草模様を「アラベスク(アラブ風の)」と呼ぶようになり、今でも建築や芸術作品などに多く用いられています。


日本で唐草模様というとこれ。ひと昔のドラマや漫画に出てくるドロボーが抱える風呂敷がいつもこの唐草模様でしたね。獅子舞のかぶり物として今でも使われます。


日本にはシルクロード経由で中国から伝わったとされています。

生命力が強く途切れることなく蔓をのばしていくことから「繁栄・長寿」などの意味を見出し、縁起がいいとして唐草模様の風呂敷は大変好まれたようで、明治から昭和初期には各家にあったようです。

泥棒が唐草模様の風呂敷を担いでいるのは、空き巣に入った際にどの家の箪笥にもある唐草模様の風呂敷に盗品を包んで逃げたから。

当時はある程度大きなものを包むのにこの風呂敷を使う人が多かったので、当時としては泥棒が持つイメージはなく、むしろみんなこの風呂敷を使っていたので、この風呂敷に包んだ荷物を運んでいたのを目撃されても目立たなかったのでしょうね。

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さて。

絡まり合うような細密なモチーフや、曲全体を貫く規則的な装飾を彷彿とさせるこの愛すべき小品に「アラベスク」という気の利いたタイトルをあてた若きシューマンの得意気な顔が目に浮かぶようです。

シューマンは他にも「小説」を表す「ノヴェレッテン」を曲のタイトルに初めて用いています。

同じ年生まれ(1810)のショパンが「バラード」を初めて音楽のタイトルに用いていますし、彼らの時代、新しい音楽を作ることが流行ったのでしょう。

シューマンの後、ドビュッシーが二曲のアラベスクを書いています。

ブルグミュラーの練習曲にも「アラベスク」がありますが、もはや唐草模様的ではないですね。。



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シューマンの「アラベスク」作品18を見てみましょう。

ロンド形式(ABACA)+コーダからなっています。
符点のリズムをまとった軽快で繊細なハ長調のモチーフで始まるA部分、途中ふっと翳ったり(ホ短調)キラッと光ったりと微妙なニュアンスをまといつつ軽やかに流れます。
Minore 1(ホ短調)、Minore 2(イ短調)と表記されているBとC。
Bでは少し重く深刻な面持ちのデュエットが奏でられ、CではAのメロディが重みを増してダイナミックに展開していきます。
そして美しい歌が用意されたコーダ。同時期に書かれたフモレスケにも、楽曲が一通り終わった後に美しい歌が用意されています。有名な「子どもの情景」の最後の曲『詩人は語る』にも共通する情緒を感じます。



組曲形式が多い(しかも30分もかかる大きな組曲ばかりの!)シューマンのピアノ曲の中で、珍しく単一の美しい小品であるアラベスクは、プログラムに取り入れやすいので、これからも何回も弾いていくと思います。



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