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ノクターン 夜想曲

ハートピアノ教室


 真夜中に暑くて目が覚めると、今確かに夢を見ていたようなのに何を見ていたかはなぜかぼんやりして、夢の中にさっきまで存在していた感情だけが現実の私を強く支配している時があります。

 《ノクターン》(夜想曲)というジャンルがあります。ポーランドから亡命し虚弱な身体で異国フランスに生きたショパンは生涯にわたって21曲のノクターンを書き、この分野の最高傑作を確立しました。

 一見優雅な美しさをまとったノクターンですが、さらさらと弾いてしまってはいけないものを感じます。弾くという動作に囚われず、指をゆっくりゆっくり動かしながら曲の音楽的な部分だけに集中して、彼の想いを細かいところまでくみ取ります。教会旋法が何とも言えない懐かしさを運んでくる曲や、出だしからは予測もつかないほど中間部が激しく盛り上がる曲まで、その魅力は尽きません。次の音へ移り変わるその瞬間、音と音の間をスローモーションでいつまでも味わっていたくなります。ショパンが好んだという“闇夜に消えていくような音”をイメージしながら弾いていると時間を忘れてしまいます。

 さて、現代の作曲家オーラヴル・アルナルズ(1987- )は、クラシックに現代的な感覚をとりいれた新しい時代のアコースティック・ミュージックをクリエイトします。ピアニストのアリス=紗良・オットと“ショパンコラボ”という企画を行っていて、映像と弦楽器を伴った幻想的なショパンを聴くことが出来ます。

 弦楽器で始まる幻想的でどこかバロック以前の香りを持つ調べ。するとその隙間からいつの間にかピアノの音が忍び込んできてショパンのノクターンを奏で始めます。いつも会っている人が、表情の微妙な翳りのせいで何となく違う人のように感じるような不思議な違和感のようで、それが心地よく、これは一体知っていたあの曲なのだろうか、と一種の記憶喪失のような錯覚に陥ります。

 抽出された音楽のエキスは確かにショパンのもの。それなのに、オーラヴル・アルナルズの感性を通り抜けたノクターンは、もう19世紀という過去の香りのするショパンの作品ではなくなり、現代の私たちの心の暗い部分をゆらゆらとあぶりだします。

 夢のあらすじはいつもでたらめですが、夢には深層心理が現れるという説もあり、そこに流れている感覚はとてもリアルで、目覚めた後も鮮明に残っています。オーラヴル・アルナルズの作り出す世界も夢の中の悲しみに似ていて、時空が曖昧なまま心の動きだけを確実に操り、今まで知らなかった痛みをそっと胸の奥に置いていきます。

 ショパンのノクターンも彼の夢と無関係ではなかったかもしれません。故郷から遠く離れ、真夜中にはっと目覚めた時の焦燥感や憂鬱を書き留めたこともあったのでしょうか…。

  HEART PIANO ハートピアノ教室


































































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