ハプニング

卒業式で伴奏をした中学2年のSさん。
3年生が退場する際の演奏だった為
拍手の音がずっと続いて歌が聞こえなくなり
また卒業生が彼女の横を通って行く時に彼女の顔を見たり
話掛けていくというような状況で演奏どころではなかった様子。
納得の行く演奏が出来ずとても落ち込んでしまったと言う事でした。

頑張り屋で何でも完璧主義なSさんにとって
今回の出来事があまりにもショックだった為
もうピアノは弾きたくないし
本番で弾く事は絶対嫌だ
ピアノは止めると話ていたそうです。

思い出したくない記憶になってしまっているようなので
レッスンに来た時、私もあまり追求しないようにしました。

ご両親は折角ここ迄続けて来たのだから細く長くでも
続けて欲しいと希望していましたが
本人が嫌なら無理には勧められません。

もしかしたらこれ最後になるかもしれないと言う
レッスンを終えた翌日お母様からメールを頂きました。

娘が「やっぱり、先生の所へ行ってピアノを弾くと楽しい！」
と言っているので落ち着いたらまたお願いしますとの事。

これから受験も控えて勉強の方も大変になるとは思いますが
そんな時こそピアノを弾く事が息抜きになったら嬉しいと思います。

ピアノはもうやめると決めていた彼女が「楽しい！」と
感じてくれた事が私にとっても何より嬉しい事でした。

本番では毎回何が起こるかわかりません
リハーサルで最善の状態を作っていても
お客様が入るとまた状況が変わったりと、本番は毎回挑戦です。

ここで止めてしまうとこれまで楽しく続けて来たピアノが
嫌な思い出になって残ってしまうので
続ける事を選択してくれて本当に良かったと思います。

一度の挫折でくじける事無く
この経験をバネにして何事も乗り越えていって欲しいと思います。

これからもピアノを通して
生徒達と色んな出来事を共有して行けたら嬉しいです。